観た。

「夢売るふたり」
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「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督がオリジナル脚本で描く長編第4作。料理人の貫也と妻の里子は東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、調理場からの失火が原因で店が全焼。すべてを失ってしまう。絶望して酒びたりの日々を送っていた貴也はある日、店の常連客だった玲子と再会。酔った勢いで一夜をともにする。そのことを知った里子は、夫を女たちの心の隙に忍び込ませて金を騙し取る結婚詐欺を思いつき、店の再開資金を得るため、夫婦は共謀して詐欺を働く。しかし嘘で塗り固められた2人は、次第に歯車が狂い始めていき……。主演は「告白」の松たか子と「なくもんか」の阿部サダヲ。(eiga.comより引用)
試写会で鑑賞。素晴らしかったです! 面白い、怖い、好み。

過去の西川美和監督作品を観たことがある方なら分かると思うんですけど、静かに狂ってる人がたくさん観れます。それで、そのことに気付いていない人の表情、気付いているけど気付かないふりしている人の表情が怖いです。

火事でお店を失ったふたりが共謀して結婚詐欺を働く。この発想がまずすごく面白いと思うのですが、結婚詐欺の犯人が逮捕されて、事件の全貌がニュースで明らかになったりすると、被害者の方には失礼ですが「よくこんなのに騙されたな!」って驚くじゃないですか。でも、その気持ちが少し分かるというか、これは映画ですから物語だけど、ほんの優しさ、ちょっとした一押しで、女性たちがどんどん転がっていってしまう姿、面白いけど、女性監督に女性のしょうもなくて悲しい性質をズバっと当てられた感じがします。同性の視点は鋭い。

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キャスティングも抜群ですよね。嵐のマツジュンのことが苦手な女性はいても、阿部サダヲのことが苦手な女性ってまずいないと思う。イケメンじゃなくても愛嬌があって、可愛くて、かといって男として見れないってほどキャラクターっぽいわけでもないという。妻が彼の「女性をほっとさせる雰囲気」を見抜いて、結婚詐欺を企てていくのですが、女性への会話がどんどん上手になっていく物語の序盤〜中盤は、コミカルで笑えます。し、癒されます。

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最初は「この人こそ理想の妻だよな〜」と女性の強さ、優しさを存分に発揮している松さんの、だんだん恐ろしくなっていく演技も素晴らしかった。西川監督は「告白」の松さんの演技をみて、キャスティングしたそうですけど、「告白」の時とはまた違う怖さが味わえます。

2時間半弱と、邦画にしては結構長い映画ですが、全然飽きずに観れた。結末はゾっとするもので、映画を観終わった後、しばらくグッタリしてしまいました。この感覚は久々だった。

その後、映画についてもっと知りたくて、「夢売るふたり 西川美和の世界」という本を買いました。この映画以外も、過去作品についても色々な考察が載っていてかなり面白いです! 綿矢りささんの文章とかもちょーよくて。

夢売るふたり 西川美和の世界
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どのキャストさんも西川監督について「女性らしいのに、誰よりも男前だ」という感じのコメントをしているのですが、松さんの「監督はいつもキレイにしているから良い。女は捨てましたーって感じの人よりも、そっちの方が本当は絶対男っぽいですから」という言葉にもうなりました。うまいこというなー。

追記:東京の下町っぽい雰囲気、映像のキレイさが是枝監督の『空気人形』に似ていて、そこもとても好きです。