感想遅くなりました。ものすっごかった。

「恋の罪」
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「愛のむきだし」「冷たい熱帯魚」の鬼才・園子温監督が、水野美紀、冨樫真、神楽坂恵を主演に迎え、実在の事件をもとに描く愛の物語。21世紀直前に起こった、東京・渋谷区円山町のラブホテル街で1人の女性が死亡した事件を軸に、過酷な仕事と日常の間でバランスを保つため愛人を作り葛藤(かっとう)する刑事、昼は大学で教え子に、夜は街で体を売る大学助教授、ささいなことから道を踏み外す平凡な主婦の3人の女の生きざまを描く。

今から13年ほど前、渋谷で起こった東電OL殺人事件にインスパイアされたという、園監督最新作。
映画観終わった後の劇場のグッタリ感はんぱなかったです。
もう見ず知らずの人と「……やばかったすねぇ…」って一杯酌み交わせるレベル。

観た人の中には被害者を冒涜してる、遺族の気持ちを無視してる…うんぬん否定的な意見もある様ですが、あくまでインスパイアであって、これは完全なフィクションですので、それは念頭に置いて観たほうがよいです。

とはいえ、さすが園監督にアイデアを与えるだけあって、この東電OL殺人事件、すごすぎる。事実は小説より奇なりとはまさに。すごすぎる。

園監督作品はじめての人とか、エグい描写が苦手な人(そもそも、そういう人は観にいかないと思うけど)は、唖然としちゃう描写のオンパレード。それをやってのける3人の女優さんに感服いたしました。水野美紀さん、冨樫真さん(初見の女優さんでした)、神楽坂恵さん、それぞれパーフェクトだったと思います。

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冨樫さんは想像通り、舞台を中心に活躍する女優さんの様で、演技が素晴らしすぎました。ありがちな表現ではありますが、現実に存在する人の様。まるで本当にどこかの大学の講義をのぞけば美津子さんがいるんじゃないかって思うほどに。公式サイトによると園監督は、冨樫さんに「一緒に心中するよ」と言われ、自分も美津子のいる世界にどっぷりはまれたそうです。

そして、祝・園監督とご婚約!な神楽坂さん。私事ですが、以前別の映画でお話を伺った事がありまして、清楚でもの静かで可憐な雰囲気がとても印象的だったのですが、「恋の罪」では堕ちていく作家の妻を見事に体当たりで演じていました。このいずみという役が出来なかったら女優をやめようとすら考えていたようです。

この美津子といずみの行動をベースに、事件の謎が明らかとなっていくわけですが、この2人の会話にはいくつもハッとなる様な言葉がありました。ネタバレになる&文章では伝わらなさそうなので書きませんが、「モテキ」で長澤まさみちゃん演じるみゆきが言った一言と、本作で美津子が言った一言が、私にそれぞれ行動をおこさせてくれた部分もあり、忘れられない一作となりました。

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そして、刑事役の水野さん。それぞれ違う時間や思惑で進んでいくシーンをつなげていくまとめ役であり、本人自身も様々な葛藤を抱えているという、とてもバランスの良いキャラクターでした。演技力ももちろんですが、テレビドラマを中心に活躍していた時代よりも、今のほうが格段に美しくなっている様に私は感じました。

この3人の女優陣の他にも、アンジャッシュ児嶋さん、水野さんの旦那さん役の二階堂智さん、「空気人形」でもそうでしたが、小売店の嫌らしい店長を演じさせたら右に出る者がいない岩松了さんなど、サブキャストも素晴らしかったです。

「愛のむきだし」はわけわかんないんだけど、わけわかんないほど面白い映画、
「冷たい熱帯魚」はエンタティメントとしての大傑作、
その流れからすると「恋の罪」はもしかして、園監督ファンに物足りない作品であるのかもしれないけど私は、この映画めっちゃくちゃ面白かったです。

「ヒミズ」も楽しみ!

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そういえば、ノベライズ版も読みました。

恋の罪―愛にさまよう女たち (リンダブックス)
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作品の中で起こる殺人事件以後の話で、映画と比べるとライトなデリヘル嬢もの、といった印象。
悪くはないですが、すごく面白いというわけではない。