観た。

「監督失格」
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200本以上の作品に出演しながらも、2005年に34歳で急逝した女優・林由美香を題材としたドキュメンタリー。林の元恋人でドキュメンタリー「由美香」(1997)も手がけた平野勝之監督が、林とかかわった約15年間にわたる記録と、林の死後に新たに撮影した映像で構成した。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」の庵野秀明が実写映画初プロデュース。

半年くらい前から、TOHOシネマ六本木でガンガン予告やってて、「あれ…?ここシアターNとかポレポレ東中野じゃないよね?ヒルズだよね?」って戸惑ったものです。作品のタイプ的に。

林由美香さんって私にとって全然知らなかった存在で、2005年に亡くなった事も存じ上げてなかったのですが、2009年に松江監督の「あんにょん由美香」を観ていたこともあり、すでに試写を観た知り合い達の感想もかなり興味をそそるものだったので、「これは絶対観ねばならぬ」と思っていたんです。

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で、感想なのですが。感想をサラっと言える様な映画じゃないですねー。すごかった。エンドロール全て終わった後、ずしん。すぐに気持ちの切り替えが出来ない感じでした。人によって好みは相当に分かれる作品だとは思いますが、私的には今年のベスト5には入る映画でした。

1997年のドキュメンタリー「由美香」の映像を織り交ぜながら、実際に林由美香の遺体の第一発見者であった平野監督所有の映像を編集して作られた、この映画。純粋な「ドキュメンタリー」とも違う、でももちろんフィクションでは無いっていう、変わった作品です。生涯に一度しか産み出せない作品って、言葉で言うとちょっと安っぽいけど、こんなに観客が「監督の苦悩」が伝わってくる映画ってそうそう無いと思います。

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前半〜中盤にかけては、「由美香」の映像を振り返りつつ、監督自身が気持ちを整理していく様な作り。実際に「監督失格」を作りはじめるに至る過程なんかが展開されていきます。人って自分が思っているよりもエグい話が大好きで(私も含め)、「監督失格」の、監督と林由美香の言い争いとか、それこそ死とかのエグい部分にだけ期待していくと、もしかしたら肩透かしをくらうかもしれません。

けど私は、この「由美香」のパート、すごく楽しめました。林由美香の魅力がすごい。監督も若い…。結末を知っているからこそ、より2人の無邪気さや喧嘩がキラキラとまぶしく見える。ここがちょっとくだらなくて可笑しいからこそ、後半のたたみかけるような悲しみの展開は辛かったです。

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林由美香の母親であり「野方ホープ」の社長さん。この、お母さんのキャラクターがかなり良い。強い強いお母さん。彼女がAV女優ってことは知っていて、叱咤激励しながらも「早くいい人を見つけて結婚して欲しい」という。その普通の女の子、娘に対する願いがなんとも…。最後の方のお母さんの慟哭ぶりは、観ているこちらも相当にキツイのです。

AV女優と監督であった2人が恋人になり、別れ、その後も復縁するわけではないけど特別な存在で。それで、元カレが元カノの遺体の第一発見者って壮絶すぎる。けどそんな事が本当にあるのですから現実っていうのは本当にすごい。

そして「由美香」の中や、その他の映像に映し出されている彼女は素顔のままの彼女なのか、そういう所も考えはじめると切ないのです。矢野顕子の主題歌もすんばらしすぎた。あれ、グっとこないひといるのかな…。