観た。

「エッセンシャル・キリング」
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ポーランドの巨匠イエジー・スコリモフスキ監督が83分間セリフなしで撮り上げ、第87回ベネチア国際映画祭で審査員特別賞、最優秀男優賞を受賞したサバイバルアクション。アフガニスタンで米兵を殺害したアラブ人兵士ムハマンドは、ヘリの爆撃を受け、一時的に聴力を失う。米軍に捕まりどこかへ移送される途中、護送車のアクシデントにまぎれて脱走したムハマンドは、雪に閉ざされた深い森の中を逃走する。主演はヴィンセント・ギャロ。

今年最大のカルト作(私の中で)であり、話のネタに観た感はあるけど思わぬヒット!
ここ最近観た映画の中では一番面白かったです。
内容はただただ、「ヴィンセント・ギャロが逃げるだけ」。本当にコレだけ。

ギャロといえば、「バッファロー66」(これ、好き!)で一気に人気出たけど、「ブラウンバニー」がまじわけわかんなすぎて、“なんだかよくわかんないひと”ってイメージ。ユニクロでTシャツ出したりしてたね、ハイパーなマルチクリエイター。

見た目が渋いから一瞬女子の餌食になりかけたけど、本当はものすんごく変なヤツっていう所が、いい意味で山田孝之っぽくて好きです。そういう変な人だからこそ、この映画にビシっとはまったんだと思うし。

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↑こんな何も無い雪原の中を、自分の足だけで逃げるギャロ。逃げきれるわけないよ、ギャロ!

ギャロ演じる主人公のアラブ人兵士ムハンマドは、米兵を殺した事により捕まり、拷問を受けたりするのですが、捕まった時のヘリコプターの爆音のせいで聴力を失っており、米軍が何を言ってるか分からないんですね。聴こえない相手に激しく責められ、わけのわからないままに拷問を受ける恐怖。

アクシデントをきっかけに、ムハンマドの逃亡がはじまるわけですが、これが本当に生々しくて過酷。バイクで逃げたり、ヘリから縄ばしごが出てくるワケじゃないですから。ましてや走って隠れる建物も無い。ただただ、真っ白な森を必死に逃げ続ける。ギャロのセリフは映画本編中、一言もありませんが、迫真の演技。素晴らしかったです。

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森の中を体一つで逃げていれば、もちろん食べ物に困る。蟻や木の皮を食べたり、釣り人の魚を奪って生のまま食べたりして(このシーンは、笑えた)飢えをしのぐのですが、動物は殺さない。タイトルの「エッセンシャル・キリング」とは、「エッセンシャル」が「欠くべからず」という意味で、直訳だと「殺害を欠くべからず」ってことなんですが、自分の身を守る意外の殺害はしていないんです。

「そこは殺して、そこは殺さないのね」ってあたりがこの映画の持つメッセージだと私は思っていて、そこが面白かったですねー。

とにかく、逃げまくるギャロが愛おしい。セリフほぼ無いのに全然眠くもならず、87分エキサイティング。これはすごい映画でした。

*****

余談なんですが、コレを観た日、平日の21時くらいだったのに若い女子が溢れていて「ギャロってすげーなー」って思ってたんですが、彼女らの目的は当時同じ映画館で上映していた、「タクミくんシリーズ」でした。ボーイズラブものです。BLってすげーんだなあ。

もう一つ余談なんですが、ギャロが知人の男性ソックリで、何となくその人を応援している様な気分になりました。