国内外で活躍するクリエイターら10人が次世代のクリエイターを発掘・育成するプロジェクト「コ・フェスタPAO」で選出された、期待の若手監督3人による中編映画を一挙上映する「movie PAO」。3本同時上映だったので観てきました。

「ファの豆腐」
豆腐
父と豆腐屋を営む朝子はある日、幼なじみの男と再会。穏やかで静かな日常を送っていた朝子の心に、微妙な変化が訪れる。主演は「森崎書店の日々」の菊池亜希子。監督は、李相日の「悪人」や西川美和の「ゆれる」で助監督を務めてきた久万真路。

緒川たまき的ビューティを継承するモデルの菊池亜希子主演。ゆったりとした雰囲気と、現代の話でありながらどこか昭和的な空気感を持った、父娘のお話し。セリフ数も少なく、派手な話ではないため、菊池亜希子さんと塩見三省さん(ニッポンのお父さん!)の演技が際立っていた。

この映画で一番素敵だなと思ったのがロケ地で、冬の日差しがその時々によってあたたく感じたり、寂しく感じたりする、この場所はどこだろうなーと思っていたら東京の江東区の様です。映画「空気人形」の舞台と通じる、都会にぽっかり現れた様な公園が効いていました。今回の3作品の中で一番好きです。

「NINIFUNI」
original
ある地方都市で起こった事件に関与した青年が、奪った車であてどなく国道をさまよい、人気のない海岸にたどり着く。数日後、そこへアイドルグループのPV 撮影隊が訪れ、青年の乗っていた車が発見されるが……。監督は東京藝術大学修了作品「イエローキッド」が高い評価を受けた真利子哲也。人気アイドルグループ「ももいろクローバー」が、劇中のアイドルグループ役で登場。

「movie PAO」を知ったのはこの作品から。「今、僕は」というドキュメンタリー映画がすごく観たくて(これ、ソフト化されてないんですかねぇ)、監督の竹馬 靖具さんの近況から、「NINIFUNI」にたどり着いたというワケです。

真利子哲也監督の作品「イエローキッド」は観たことがあって、かなり斬新な映像と設定に衝撃は感じたものの、ちょっと自分の中では消化しきれない作品だったんす。理解しきれないというか。で、「NINIFUNI」も同じ様な感想ではあります。しかし、今こんなに狂気ある映画撮れる人ってなかなかいないよな、とは思ってます。

この題材を映画にしようとした時に、ももクロと組み合わせようとするなんて監督は変態(褒め言葉)。ももクロがまた、はちきれんばかりの元気さだったから、青年との対比がものすごい。車の中から見えるももクロのPV撮影シーンは、本当すごかった。驚愕。そして、この仕事受けた、ももクロサイドにも驚愕。

パンクですね〜。ももクロ。

「冬の日」
冬の日
カメラマンになる夢をあきらめ、実家の写真館に帰ってきたリサは、ある雪の日に現れた1人の女性と出会う。彼女が抱える秘密を知ったリサは……。長澤まさみ、風吹ジュンが主演。監督はNHKで「わかば」「火の海」「セカンドバージン」などドラマ演出を手がけてきた黒崎博。

地方出身者、しかも結構田舎の方出身じゃないと分からない雰囲気がたまらない作品。高校生の時に付き合ってた男の子のお母さんとの会話とか、その男の子自身との会話とか。

風吹ジュン演じるお母さんの得意料理がらっきょう漬けで、その後の長澤まさみの発言とやりとりが逸脱。「私もらっきょう好きです。昔は嫌いだったけど、彼がらっきょうの匂いがいつもしていたので」「えっ?」「つまりその…」「……。えー!もうヤダー」「アハハハ」。

風吹さんの表情がすごすぎて、まさみどんがちょっと棒読みに見える瞬間がありましたが、逆にその雰囲気が不器用で傷ついたカメラマンにあっていたような気もしています。