事情があって実家長野に帰省中、往復の新幹線で読み終えました。

「横道世之介」
横道世之介
横道世之介
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横道世之介。
長崎の港町生まれ。その由来は『好色一代男』と思い切ってはみたものの、限りなく埼玉な東京に住む上京したての18歳。嫌みのない図々しさが人を呼び、呼ばれた人の頼みは断れないお人好し。とりたててなんにもないけれど、なんだかいろいろあったような気がしている「ザ・大学生」。どこにでもいそうで、でもサンバを踊るからなかなかいないかもしれない。なんだか、いい奴。

――世之介が呼び覚ます、愛しい日々の、記憶のかけら。


吉田修一は好きな作家で、ほぼ読んでいるけど文庫になってから読むのが常で、単行本を買ったのははじめて。
メディアで結構話題になってて、評価も高いから期待も高かったのだけど、想像したのと違って、すごく穏やかで爽やかな小説でした。なんていうか、この小説がこうやってたくさんの人の評価を受けてる事自体に幸せを感じます。

世之介は、なんてことない普通の大学生で、上京したばかりのウキウキと不安と「ま、こんなもんだよな」っていう気持ちが入り混じったキャラクターがリアル。でも、80年代に大学生だった40代の人達が見た方が、よりその空気感を感じることができるでしょう。ちょっと、うらやましい!

上京したての大学生男子の青春を描いた小説といえば、奥田英朗の「東京物語」があって、こちらも大好きなのですが、「横道世之介」は大学時代の過去、と社会人になった現代が入り組んでいく所が面白い。そして、ある事件がその物語をつなぎ、ラストに持っていく所がなんか、結構普通で、ギミックとか感じないのに、感動する。

大泣きするって感じじゃなくて、あくまでホロリ。
おすすめです。