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沖で待つ
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「沖で待つ」
同じ福岡支社に配属された同期の太っちゃんと私は、恋愛関係ではないが分かり合える間柄。二人はどちらかが死んだら、お互いのHDDを壊して人に知られたくない秘密を守るという約束をする。私の方が先に死ぬと思っていたのに、ある日太っちゃんは不慮の事故で命を落としてしまう。


CDを買うことが全然少なくなった今(曲を買うならITMSで)、「表題曲よりカップリングのほうがいいじゃ〜ん」と思う事も無くなりましたが、本を買って併録の短編の方が良かったって事は結構多い気がする。

「沖で待つ」は芥川賞受賞作で、仲良しの元同僚が死んだという重いニュースを、九州の食べ物の魅力など混ぜながら軽い切り口で紡いでいく所に、私なんかには絶対無い文才を感じます。

でも、人間くさくて馬鹿らしいもう1つの短編「勤労感謝の日」に大きな魅力を感じます。「勤労感謝の日って何に感謝すんだよ」という主人公の嘆きも面白い。

「勤労感謝の日」

失業した恭子は三十代半ばの独身で、母との二人暮らし。命の恩人の長谷川さんが勧める見合いに、義理を感じて応じてはみるものの、来たのはやはり鼻持ちならない男。途中で我慢できず退席してしまう。


絲山 秋子さんはどうしてこう、会社勤めをするものの色んなあれこれをここまで描けるんだろうと思った時に

東京都世田谷区出身。東京都立新宿高等学校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒。卒業後INAXに入社し、営業職として数度の転勤を経験。1998年に躁鬱病を患い休職、入院。入院中に小説の執筆を始める。2001年退職。


というプロフィールを知って納得。全ては経験から。でも、経験だけじゃ得られない才があるからこそ、こうやって境遇が違う私に色々と考えさせてくれるのだと思います。