読んだ。

満潮
『満潮の時刻』

突然の喀血により結核に冒されていることを知った明石。四十代の働き盛りで療養生活を余儀なくされ消沈する明石が入院先で出会ったのは、自分よりもさらに死に近い病人たちと、その儚い命の終焉だった。結核がまだ致命的な病であった時代、死の淵を彷徨い絶望と虚無に陥った男の心はどこへ向かったのか。生と死、信仰と救済。遠藤文学を貫くすべてのテーマが凝縮された感動の長編。


のめり込んで、2日間で読了(正味、3時間程度)。
一度手術をしたことのある人間なら、この描写のリアリティに鳥肌がたつはず。

『海と毒薬』もそうでしたが、麻酔シーンとか本を持つ手の力がぬけるほど感情移入しました。

私が入院したときもそうでしたが、同室で他の患者さんと会話するのってすごく希有な体験だと思う。
私なんて成功確率100%みたいな簡単な手術でお気楽だったけど、でも眠れない夜の何度も寝返りをうつ、変に熱をもったシーツの不快感は忘れられない。
狐狸庵先生、素晴らしい本をありがとうございます。




藤子不二雄の漫画もそうだけど、もう亡くなっている人の本は、
今後増えることがないから大切に読みたい。
次は、『王妃マリー・アントワネット』を読む予定です。