推敲しない言葉

本・映画・音楽の、推敲しないそのままの記録。

2012年11月

悪の教典

観た。

『悪の教典』
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目的のためならば殺人もいとわない教師の姿を描いた貴志祐介の問題作を、三池崇史監督が映画化。伊藤英明が主演し、自身初の悪役に挑んだ。生徒から慕われ、学校やPTAからの評価も高い高校教師・蓮実聖司は、教師の鑑ともいうべき表向きの顔とは別に、他人への共感能力をまったく持ち合わせていない、生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)という隠された顔があった。いじめ、モンスターペアレンツ、セクハラ、淫行など問題だらけの学校で、自らの目的を達するため、蓮実は躊躇なく殺人を繰り返していく。しかしある日、ほんのささいなミスを犯してしまった蓮実は、それを隠匿するためクラスの生徒全員を惨殺することを決める。(eiga.comより引用)

伊藤英明って絶対悪いヤツじゃないですか、リアルに。マジック・マッシュルームのことはまあ置いておいたとしても、たまに出るバラエティ番組での立ち振る舞いとかみるにぜんっぜん爽やかじゃないよ。ワイルドで粗暴な感じはプライベートで男友達多そうな感じがするから、もちろん悪いヤツっていうのは“性格悪い”とも違うニュアンスなんですけど。そんな伊藤英明に『海猿』で老若問わない女性たちがキャキャー目をハートにしてるのって「マジで!?」ってずっと思ってましたよ。


↑このCMとか、何か狂気にじみでてません? オンエア当時釘付けになる恐さだったよ。

だからこそ、この『悪の教典』に主演が決まった時は、飛び上がりました、キタ━(゚∀゚)━! って。で、実際やっぱり最高でした!!!! ちょっとオーバーかもしれないけど、『時計じかけのオレンジ』のアレックスなみに、「ここまでハマリ役だともう違う役できないんじゃ?」って感じ。伊藤ハスミンはお気に入りキャラの1人になりました。黒目がちっていうか、ほぼ黒目だから怖いんですね、きっと。伊藤英明様って。

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原作は未読なので、映画に関してだけ書きますが、この映画は人によって「グロいのがOK/NG」で評価が分かれるというよりは、「三池作品独特の感じがOK/NG」で評価が分かれる面の方が大きいと思う。私は三池作品ファンなのでかなり面白かったです。最高でした。メッセージ性とか倫理観とかは考えずに、エンタティメントとして楽しむのが一番なのでは。

もちろん何の罪の無い人々(しかも大半が高校生)が殺されていくのは気持ちの良いものではないし、不愉快です。でも『アウトレイジ』だって、何の罪の無……くもないけど、ガンガン人が殺される。けれどそれを「問題作だ!」って騒ぐ人っていませんよね。『ダークナイト』に感化されて劇場で銃乱射なんてことはあってはならないことだし、いくらエンタティメント作品でも、それにのめりこんでよからぬことを考えるヤツは出てくるんだけど、そのテの議論をこの映画に持ち込むのはナンセンスかなあ、と。楽しみましょうよ。楽しめなかったら、それでいいし。実際、途中退出していく人が何人かいたなあ。いいんですよ、それで。合わなかったら出ちゃえ! お金はちょっともったいないけど。

映画本編終わって「ハスミンKOEEEEE!」ってなってる時に、主題歌THE SECOND from EXILE「THINK 'BOUT IT!」が流れるのは、ガクっと脱力するはするんだけど、ここでちゃんと「これはエンタティメントですよ!」と区切れているので、逆に良かったと思います。

とにかくハスミンのキレキレっぷり、台詞まわしが最高で、同じく三池作品の『十三人の刺客』の稲垣ゴローちゃん演じる暴君・松平斉韶もそうなんだけど、そのキャラクターの“狂気”を表現するための小さな演出とか台詞まわしが最高だったなあ。「エクセレ〜ント!」もそうだし、「to die?」とか!

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『ヒミズ』カップルの二階堂ふみちゃんと染谷将太くんが出てるってあたりが、超俺得だったんだけど、『桐島、部活やめるってよ』でも良い雰囲気だった浅香航大さん(元ジャニーズJr.なんだ!)、ダルヴィッシュの弟KENTAさん、あんだけ主役・主役級やってるのに意外なモブキャラて登場した林遣都さんなど、キャスティングも素晴らしかったです。あと、吹越満さんと、現時点で日本No.1俳優の山田孝之さんね。山田さんが死ぬ直前の演出とか大好き。一番好きなシーンかも。

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高校生なのにアーチェリー部があったりと、大きめの私立高校なのかな?って感じもするんですけど、文化祭の感じは超D.I.Yだったり、吹越満さん演じる生物教師の気色悪い感じ、染谷くんをはじめとする“食えない生徒たち”の描写はかなりリアルで、あ〜学校ってこんな感じだったよなぁって思えるからこそ、殺戮シーンが怖いんですね。

たまたま、私がこの映画を映画館で観たとき、周りの観客の民度が非常に低く、特に後ろのカップルが上映はじまってもずーっと私語してたんだけど(と書くと怒ってるっぽいが、私はこういうの気にならない人です)、ハスミンがロープで廊下にのぼってくるシーンの時にカップルの女性が「……ヤバイ…くる!怖い!」って思わずつぶやいたのは、私も共感しまくりでした。手に汗にぎったよ。

何はともあれ、好き嫌いは分かれる作品だし、原作ファンからするときっと「う〜ん」な部分も多いんだと思うんだけど、個人的には最高でした! エクセレント!







イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」

劇団「イキウメ」の新作、観てきました!

イキウメ「The Library of Life まとめ*図書館的人生(上)」
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日常の裏側に潜む異界を描く、気鋭の劇作家・前川知大とイキウメによる最新作です。劇団結成より今年で10年。10年目の最後の公演は、オムニバス形式の短篇シリーズ「図書館的人生」から、選り抜きと新作を織り交ぜての上演となります。「図書館的人生」では、これまで、「Vol.1 死と記憶に関する短篇集」(2005)、「Vol.2 盾と矛」(2008)、「Vol.3 食べもの連鎖」(2010)、と3作全13本の短篇を上演。ハードSF、スラップスティック・コメディ、オカルト・ホラーなど、カラフルに並べたショーケースであり、実験の場でもある、劇団のライフワークともいえるシリーズです。

開始直後はすぐに世界観を理解できずに戸惑ったのですが、徐々に分かっていくにつれ「どうしたらこんな発想が出来るのだ」と呆然としてしまいました。

今までイキウメの公演は、「図書館的人生 Vol.3 食べもの連鎖」「侵略する散歩者」「太陽」と観たのですが(他作品はDVDで鑑賞)、やはりはじめてみた「図書館人生」の印象が強烈で、今回こうして“まとめ”が観れて嬉しかった。

演劇でも映画でも、何でもこれが正解ということは無くて「結局は好みの問題」って言葉に尽きるのだけど、イキウメの公演は全て私の好みど真ん中クリーンヒットそれでいて驚かされていつも違う発見が出来るので、なんていうか大好きですとしか言えません。

今回登場する「図書館」には色々な人の人生がまとめられた本がたくさん並んでいて、人々はそれを読みながら「こっちの結末のがいいじゃん」とか「終わりはどうなるんだろう」とか色々なことを思う。

もし、自分の人生が書かれた本をそこで発見してしまったら、未来のことが分かってしまうページを開くのだろうか。そして、その本を開いて読んだ瞬間「この本を開いて読む」という記述はリアルタイムで発生するのだろうか。また、自分が死んだときに“無”を感じるのか。でも感じたとしたら、その感じてる存在があるわけで、完全な無ではないのではないか。

そういった、合わせ鏡の様に延々と続いていく疑問がとにかく面白くて、あっというまに時間が経ってしまう。

あ、SF要素もホラー要素もありますが、それらが苦手な人も全く問題ありません。深いのにポップ、“少し不思議”でいて“だいぶ不思議”。でも笑える。そんな言い表せない魅力があって、<下>の公演も今からとても待ち遠しいです。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

観た。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
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社会現象を巻き起こした庵野秀明監督によるオリジナルアニメーション「新世紀エヴァンゲリオン」(1995〜96)を、新たに4部作で描きなおす「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ第3作。ミニチュア特撮短編「巨神兵東京に現る 劇場版」が同時上映。

『破』を観た時24歳で「このままのペースでいったら、完結するとき下手したら30超えてるなあ」とぼんやりと思ってましたが、本当にそうなりそうですね。待望の続編、『Q』、早速観て来ました。

エヴァ好きだけど決してマニアではない私からすると、感想を箇条書きにすると、

・ポカーン。
・絵がガイナックス臭過ぎて可愛いけど好みじゃない。
・映像超キレイ。
・シンジのダメダメっぷりが復活する(序、破で結構いい感じだったから特にそう感じる)。
・カヲルくんラブ。そして、石田さんラブ。
・ピアノシーンは◎◎。
・マリちゃんの新キャラなのにピンポイントでしか出ないバランスは好き。
・宇多田はやっぱりいいなあ。
・カヲルくんラブ。
・希望は残っているよ、どんな時でもね。←マジで?

って感じでしょうか。

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女子待望のカヲルくん回。やっぱり彼は素敵だ。しかし彼が素敵であればあるほど辛いシーンに直面するときの、あの悲しさたるや。

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全体的に絵に違和感があった。キャラクターの絵が少しずつ変化していくことに全然抵抗はないのですが、好みの問題で、好みは旧劇場版のほうですね。いつも不憫な目にあってるアスカは今回元気いっぱいです。

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映像は超キレイでもちろん格好よかったのだけど、エヴァの動きで「うおおおおお!たぎってきたあ!」ってなることは無かったです。ザッザッザって猛ダッシュするところが少なかったからかな。

すごく気に入ったのはピアノの連弾シーン。私はピアノは一切弾けませんが、弾ける方によるとあの鍵盤の動きはちゃんと正確だそう。すごい、そういうところのこだわりが、大人を夢中にさせる理由の一つなのかもなあ。今のアニメってどれもクオリティ高いけど、きっと細かいディティールにこだわらなかった時代・作品もあるんでしょう。

同時上映の「巨神兵東京に現る」は迫力満点でかなりよかったです。個人的にはこれだけでも劇場に行った価値あり。

しかし、本当にポカーンなストーリーだったんだけど、そのことによってエヴァマニア達の議論は活発となり、続編の公開までにいくらでも語れるんじゃないでしょうか。「ただのエンターテイメント」ではおわらんよ。って感じの姿勢は、さすがだなあと思いました。そんなこと思ってなくて「作りたいものを作った」だけなのかもしれないけどね。



ピクサー本館ビルの名前を「スティーブ・ジョブズ」に

アニメーション会社ピクサーが、本館ビルの名称を「スティーブ・ジョブズ」と名付けたそうです。

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http://pixartimes.com/2012/11/06/pixar-names-building-after-steve-jobs/

こちらのサイトに詳しく日本語で載っています。

故人をしのんでピクサーが本館ビルを「スティーブ・ジョブズ」と名付けました - apps!

やっぱりピクサーがやることは素敵だ。ピクサーではないですが、ディズニーの逸話で好きなのは、映画「プリンセスと魔法のキス」の監督に起用された、ジョン・マスカー(「リトル・マーメイド」「アラジン」プロデューサー)、ロン・クレメンツ(「リトル・マーメイド」ディレクター、「アラジン」プロデューサー)の話。

「プリンセスと魔法のキス」は、ディズニーの手描きアニメーション復活の為に、製作総指揮のジョン・ラセターが既にディズニーを退社していたジョン・マスカーとロン・クレメンツを呼び戻して作った記念すべき作品。

退社後、会社は2人のデスクを捨てる様に指示したのに、一部の社員が内緒で保管し続け、2人は再びそのデスクを使ったそうです。

「プリンセスと魔法のキス」は、本国でも日本でもあまりヒットしなかった作品ですが、ストーリーもキャラクターも全部素晴らしいので観てない方にはぜひ観て欲しいです。

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HICK ルリ13歳の旅

試写会で鑑賞。

「HICK ルリ13歳の旅」
original
「キック・アス」「ヒューゴの不思議な発明」のクロエ・モレッツが初の単独主演を務めた青春ロードムービー。アメリカ中西部の荒廃した農村に住む13歳の少女ルリは、トラブルを抱えた両親に相手にしてもらえず、友だちもいない孤独な日々を送っていた。そしてある日、両親が何も言わずに蒸発してしまう。ひとり取り残されたルリは、誕生日にもらった拳銃を手にあこがれのラスベガスを目指して旅に出る。原作はアメリカの女性作家アンドレア・ポーテスのベストセラー小説。共演にブレイク・ライブリー、ジュリエット・ルイス、エディ・レッドメイン、アレック・ボールドウィンら。(eiga.comより)

「HICK」とは「うぶな、かも」という意味の言葉だそうです。変わり者で孤独な少女がバッグ一つでラスベガスを目指すという一見爽やかそうなお話。でも、ふた開けてみたら結構怖い映画でした。ルリの場合はそこはラスベガスだったけど、それが東京に変わっても有り得る、何なら地元で一番栄えてる街、でもいい。ローティン女子の危なっかしさは世界共通です。

ヒットガールからかなり大人になって、キレイになったクロエちゃんですが、「モールス」の美少女! って感じと違って、本作ではかなりお肉がムチムチで肉感的なのです。そんなボディでへそ出しなどかなり露出の多い服を着て、ヒッチハイクで男性の車に乗っちゃうんですから、お母さんハラハラです。

で、ルリがヒッチハイクで知り合う男エディを演じたエディ・レッドメインの怪演がハンパないです。超怖いです。ここ最近の映画では一番怯えました。優しい瞳の裏に浮かぶ狂気がすごい。本当に次に彼が何してくるか分からなくてドキドキしました。12/21公開の「レ・ミゼラブル」にも出てるのでチェックします。

ビッチっぽいんだけどどこか寂しげな美女を演じたブレイク・ライブリーも良かった。肌質とか。あーヘビースモーカーなんだなって想像させる感じの(役ね)くたびれた感じとか最高。

しかしこの映画、テイストとか雰囲気とかはかなり爽やかでポップなんだけど、観終わった後、複雑な気持ちに。「テルマ&ルイーズ」的な感じを想像してると驚くかも。麦茶だと思って飲んだらめんつゆだったくらいの感じ。カルト作です。

profile
東京で働く28歳。ライターをしています。

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