推敲しない言葉

本・映画・音楽の、推敲しないそのままの記録。

2011年07月

ムカデ人間

観た。

「ムカデ人間」
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狂気に満ちた医師が、複数の人間の口と肛門とをつなぎ合わせ“ムカデ人間”を作ろうとする姿を描くショッキングサスペンス。ヨーロッパを旅行中、ドイツの森の中で立ち往生してしまった2人のアメリカ人女性が、助けを求めて一軒の邸宅にたどりつく。翌朝、目を覚ました2人は病室のベッドの上におり、隣には同じように日本人男性が寝かされていた……。日本人男性役で人気ドラマ「HEROES ヒーローズ」にも出演している北村昭博が出演。


これもう発想がねぇ。発想というか、実際に映画撮っちゃったバカヤロウがいる時点で勝ってるようなもんじゃないですか。公開よりだいぶ前にニュースがいくつも流れていたり、「キッズオールライト」や「ドリームホーム」の前に予告みたりと「あー、これ私きっと観ちゃうんだろうな」って思ってました。

で、観てきました。


↑予告で煽る、煽る!若本さんも絶好調!

そんで、宣伝担当の叶井俊太郎(くらたま夫、アメリ、えびボクサー)も、「この手術の絵キース・ヘリングみたいでオシャレじゃん」って悪ふざけしてたりで。上映場所が渋谷パルコに入ってるシネクイントっていうのも、なんとも面白かったですね。勝手に「シアターN」って決めつけてましたけどね。

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↑叶氏いわく、キース・ヘリング風。確かに確かに〜。ポップ。

で、感想なんですが、思ってた以上に面白かったです!! ホラーのベタ展開、たちまくったフラグがきちんと回収されるところ、そして何より博士の不気味さがすんばらしく効いていて、全く飽きずに鑑賞できましたよ。この出落ち系の映画において、中だるみしないってすごいと思います。

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ムカデ人間のつくり方、から実際の生活サイクルまで、想像しただけでオエっとしてしまいそうでありながら、実際の映画ではそこまで手術シーンをしっかり映さない事もあり、思ったほどグロくないです。グッログロを期待していた、HENTAIの方だったら、朝食のスコーンくらいに軽く楽しめる映画だったんではないでしょうか。

そして、ちょっと軽めの若い女子2人が旅行中に危ない目にあう、という映画の鉄板中の鉄板の展開において、それまでは口ゲンカばかりだった2人が、ムカデ人間になった時に手をとりあう…という描写は切なかった。この映画で「切ない」という感情が出るとは思わなかったなぁ。

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そしてそしてそして。この映画、一番のみどころが北村昭博さん演じる大阪のヤクザ。大阪のヤクザがなぜ、ドイツで博士にさらわれてしまったのか…?という事においては、もうこの際おいておきましょう。戸棚にしまっておきましょう。いいんです、そんなことは。

彼の演技、というか存在感すごかったなあ。声出して笑ってしまった。これ、日本人にとってかなりオイシイ映画だと思いましたよ。他の国の人は、字幕でしか、彼の言ってる事を知れないって本当もったいないもの!

ラストの展開も優れています。おすすめです。

madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン)

美容室とか待合室とかって普段読まない雑誌を、じっくり読めるので好きです。
で、最近これを読んだのだけど、ちょっとびっくりするくらい面白かったので記録。

madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2011年 08月号 [雑誌]
madame FIGARO japon (フィガロ ジャポン) 2011年 08月号 [雑誌]
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ロンドン最新ガイド。

世界中が祝福したロイヤルウェディング、来年にはオリンピックも控え、ますます元気いっぱい!
空前の面白さと刺激に満ちたロンドンを徹底ガイドします。
若いエネルギーが息吹くイーストサイドを皮切りに、全域、全ジャンルのマスト・ゴー・アドレスを隈なくキャッチ。
ストリートカルチャーの発信地ならではのユニークショップから王室御用達まで、さらに、もうロンドンはマズいなんて言わせない、
綺羅星のようなスターシェフたちのグルメ店、ホテルの最新情報も大充実。
特大ボリュームの1冊に、いまのロンドンのすべてが詰まっています。

ロンドンに行く予定があるわけでも、数年で訪れたいマストな場所にリストアップしているわけでもないのですが、今すぐ行ってしまいたいほど、そそられる記事のオンパレードだった。写真・レイアウト・文章が「ほーら、いいでしょー?オシャレでしょー?」とおしつけているわけでもないのに、主張があってよかったです。

私はもともと雑誌がすごく好きなので、昔ほどではないにせよ、今でも一通りはチェックしているつもりですが、雑誌というポジションである以上、文章が分かりやすく、読みやすくてはならないと思っています。デザインに凝りに凝ったオシャレすぎる雑誌はディスプレイとしては良いのでしょうが、“雑誌”じゃないよねってことで。雑誌って何かね、誠意って何かね(北の国から'89帰郷)。

この、オシャレなのはいいのだけど本来の目的でいうと…という現象については、佐藤雅彦著「毎月新聞」がに面白い文章がのっています。佐藤雅彦さん自身の失敗例として紹介されているもので、これについては今度ブログに書いてみます。

で、話は戻って「madame FIGARO japon」で知ったのが、UKで今大注目を集めているというトレーシー・エミンという女性アーティスト。よそ様のブログの記事を拝借しますが(「トレーシー・エミン展」By The Thames -ロンドンの風-)、気になります。絶対に見てみたいですいつか。

最近、雑誌「GINZA」も良い記事や特集が多いと聞きます。
会社の元編集者の方にそれとなくお話ししたら、外誌が頑張っているみたいですね。
このところ、追いかけている雑誌ってほとんどなかったのですが、また雑誌熱再燃しそうな予感です。

あ、ちなみにこの「madame FIGARO japon」、各アーティストおすすめの本と音楽の紹介の小特集も素晴らしかったです。特に気になったのが、くるり岸田さんのプレイリスト。竹内まりや「家へ帰ろう」が最近のお気に入りの様です。

Expressions (通常盤)
Expressions (通常盤)
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かってに改蔵(上巻)[Blu-ray]

観た。いただきものです、ありがとうございます!

かってに改蔵 上巻(期間限定版) [Blu-ray]
かってに改蔵 上巻(期間限定版) [Blu-ray]
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『さよなら絶望先生』でおなじみの久米田康治原作コミック『かってに改蔵』が長年の沈黙を破り、遂にアニメ化!主人公の勝改蔵は虎馬高校2年生、元天才児で現在は思い込みの激しい超変人。ある日、ふとした事故で気を失った彼は、科学部部長の彩園すずの気まぐれ発言により、自分が改造人間になったと思い込んでしまい…。2話収録。期間限定。

最低すぎて、最高!
久米田ファンなら絶対観るべき。必見。
そして下品なのがだめな人、久米田嫌いのひとは絶対みないで(言われなくてもみない)。

OVAとはいえ、よくこの企画とおったなあと関心しましたよ。
これを観た後に、「絶望先生」のBlu-rayを観るとものすごくまともに感じます。

そして、CVの声優さんたちに拍手。
兄貴の歌も格好良いよ!

きみの鳥はうたえる(佐藤泰志)

読んだ。

きみの鳥はうたえる (河出文庫)
きみの鳥はうたえる (河出文庫)
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郊外の書店で働く「僕」といっしょに住む静雄、そして佐知子の悲しい痛みにみちた夏の終わり…世界に押しつぶされないために真摯に生きる若者たちを描く青春小説の名作。読者の支持によって復活した作家・佐藤泰志の本格的な文壇デビュー作であり、芥川賞の候補となった初期の代表作。珠玉の名品「草の響き」併録。

去年の東京国際映画祭で上映された、映画 「海炭市叙景」 の作者・佐藤泰志。結局映画「海炭市叙景」は見逃してるんですけど(「マイバックページ」といい見逃しが多い)、それからずっと佐藤泰志の存在が気になってて、何冊がゲットして1冊ずつ読んでます。最初がコレ。

村上春樹と同世代で小説を書き、実力を認められていながら、いまいちスポットライトが当たらないまま、自ら人生に幕を閉じてしまったなんて。なんて、なんて、不謹慎だけどその生涯がまず気になってしまった。そしてこのデビュー作の設定、「郊外の書店で働く僕といっしょに住む静雄、そして佐知子の悲しい痛みにみちた夏の終わり」。嗚呼…、素敵だ。

読んでみると、確かに、村上作品との似ている雰囲気を感じ取る事が出来た。実際に、佐藤泰志と村上春樹は共に1949年生まれ、共に71年に学生結婚(佐藤泰志に関しては籍が入っていたかは不明)、国分寺に関わりアリ、ジャズ好き、そして小説の主人公は名前が決まっておらず「僕」である事が多い(そして酒ばかり飲んでいる)。などなど、単純に共通点はたくさんあるのです。

だからといって、「村上ファンは必ず読むべし!」などとは全く思っていないし、ましてや2人の作品がソックリだというわけでは無い。だけど、この同時期に才能のある2人が生きていたと、考えただけですごくワクワクしてしまうのです。

佐藤泰志は41歳で自らの命を絶ち、村上春樹は成功している作家の1人ですが、なんというか社会と迎合していない感じに共通点を私は感じたのです。上手に生きていくよりも、ポッケの中の小銭を数えて少しでも多くのビールを飲む事や、暑い夏の田舎道を映画のパンフまるめて歩いたり、女の子をデートに誘う事が大事だったり。って、つらつらと気持ち悪い文章書いちゃいましたけど、「きみの鳥はうたえる」、傑作青春小説です。オススメです。

「movie PAO」(「ファの豆腐」、「NINIFUNI」、「冬の日」)

国内外で活躍するクリエイターら10人が次世代のクリエイターを発掘・育成するプロジェクト「コ・フェスタPAO」で選出された、期待の若手監督3人による中編映画を一挙上映する「movie PAO」。3本同時上映だったので観てきました。

「ファの豆腐」
豆腐
父と豆腐屋を営む朝子はある日、幼なじみの男と再会。穏やかで静かな日常を送っていた朝子の心に、微妙な変化が訪れる。主演は「森崎書店の日々」の菊池亜希子。監督は、李相日の「悪人」や西川美和の「ゆれる」で助監督を務めてきた久万真路。

緒川たまき的ビューティを継承するモデルの菊池亜希子主演。ゆったりとした雰囲気と、現代の話でありながらどこか昭和的な空気感を持った、父娘のお話し。セリフ数も少なく、派手な話ではないため、菊池亜希子さんと塩見三省さん(ニッポンのお父さん!)の演技が際立っていた。

この映画で一番素敵だなと思ったのがロケ地で、冬の日差しがその時々によってあたたく感じたり、寂しく感じたりする、この場所はどこだろうなーと思っていたら東京の江東区の様です。映画「空気人形」の舞台と通じる、都会にぽっかり現れた様な公園が効いていました。今回の3作品の中で一番好きです。

「NINIFUNI」
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ある地方都市で起こった事件に関与した青年が、奪った車であてどなく国道をさまよい、人気のない海岸にたどり着く。数日後、そこへアイドルグループのPV 撮影隊が訪れ、青年の乗っていた車が発見されるが……。監督は東京藝術大学修了作品「イエローキッド」が高い評価を受けた真利子哲也。人気アイドルグループ「ももいろクローバー」が、劇中のアイドルグループ役で登場。

「movie PAO」を知ったのはこの作品から。「今、僕は」というドキュメンタリー映画がすごく観たくて(これ、ソフト化されてないんですかねぇ)、監督の竹馬 靖具さんの近況から、「NINIFUNI」にたどり着いたというワケです。

真利子哲也監督の作品「イエローキッド」は観たことがあって、かなり斬新な映像と設定に衝撃は感じたものの、ちょっと自分の中では消化しきれない作品だったんす。理解しきれないというか。で、「NINIFUNI」も同じ様な感想ではあります。しかし、今こんなに狂気ある映画撮れる人ってなかなかいないよな、とは思ってます。

この題材を映画にしようとした時に、ももクロと組み合わせようとするなんて監督は変態(褒め言葉)。ももクロがまた、はちきれんばかりの元気さだったから、青年との対比がものすごい。車の中から見えるももクロのPV撮影シーンは、本当すごかった。驚愕。そして、この仕事受けた、ももクロサイドにも驚愕。

パンクですね〜。ももクロ。

「冬の日」
冬の日
カメラマンになる夢をあきらめ、実家の写真館に帰ってきたリサは、ある雪の日に現れた1人の女性と出会う。彼女が抱える秘密を知ったリサは……。長澤まさみ、風吹ジュンが主演。監督はNHKで「わかば」「火の海」「セカンドバージン」などドラマ演出を手がけてきた黒崎博。

地方出身者、しかも結構田舎の方出身じゃないと分からない雰囲気がたまらない作品。高校生の時に付き合ってた男の子のお母さんとの会話とか、その男の子自身との会話とか。

風吹ジュン演じるお母さんの得意料理がらっきょう漬けで、その後の長澤まさみの発言とやりとりが逸脱。「私もらっきょう好きです。昔は嫌いだったけど、彼がらっきょうの匂いがいつもしていたので」「えっ?」「つまりその…」「……。えー!もうヤダー」「アハハハ」。

風吹さんの表情がすごすぎて、まさみどんがちょっと棒読みに見える瞬間がありましたが、逆にその雰囲気が不器用で傷ついたカメラマンにあっていたような気もしています。

不道徳教育講座(三島由紀夫)

読んだ。

不道徳教育講座 (角川文庫)
不道徳教育講座 (角川文庫)
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大いにウソをつくべし】【弱い者をいじめるべし】【痴漢を歓迎すべし】…世の良識家たちの度胆を抜く不道徳のススメ。西鶴の『本朝二十不孝』にならい、著者一流のウィットと逆説的レトリックで展開。

「三島由紀夫のレター教室」に次ぐ、三島のおもしろサイド。「レター教室」も最高ですが、こちらも笑えました。
しょっぱなから「女から金を搾取すべし」、「女には暴力を用いるべし」などセンセーショナルなタイトルだらけで、クスクスしながら読めた。箸休め本にピッタリ。

特に、この「不道徳教育講座」連載時に読者からもらった手紙をネタに、自虐満載に書き上げたパート(タイトル失念)が、素晴らしかった。

この本の中に、「できるだけ自惚れよ」という言葉があったけれど、人によって差はあるにせよ少しは自惚れないと出来ない作家という職業の中で、三島はここまで自分を客観的に見ているんだなーと思って、そこが一番面白かったです。

SUPER 8 スーパーエイト

観た。

「SUPER 8 スーパーエイト」
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「M:i:III」「スター・トレック」のJ・J・エイブラムス監督が、スティーブン・スピルバーグをプロデューサーに迎え、「未知との遭遇」などスピルバーグ初期監督作にオマージュをささげて製作するSF大作。1979年、米空軍はネバダ州エリア51の一部を閉鎖。ある物をオハイオ州の施設に輸送しようとするが、貨物列車が脱線事故を起こしてしまう。そして、その中から何かがうごめきだし……。8ミリカメラで映画製作をしていた少年少女たちが事故現場に遭遇し、エリア51をめぐるナゾに巻き込まれていく。

J・J・エイブラムス嫌いじゃないです。映画「スター・トレック」は、「スター・トレック」自体を知らないのに楽しめたし、「クローバーフィールド」は内容はともかく映像はすごいと思いました。「LOST」は長すぎて全部は見る気がおきませんが…。

この「SUPER 8 スーパーエイト」は、公開日が決定後わりかし早く、ほとんど中身が明かされていないティザーの広告がはじまっていて、最近では「E.T.×スタンドバイミー!」みたいなCMがガンガン流れていたので、こうすごくそそられる映画だったんですよね。これは絶対観に行こう、と。

で、いざ観に行ったら、前半から中盤にかけてくらいで爆睡してしまいまして…。非常に反省している次第であります。正直ちょっと期待しすぎたかなー。不完全燃焼感。

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タイトルの「スーパー8」は、コダック社が開発し、1965年に発表したアマチュア用8ミリフィルム規格のことで、物語は、少年達が自主制作映画を撮り始める事からスタート。出演女優にカワイイ女の子を抜擢したり、その子を取り合ったりと、グっとくるシーンはあったと思う。おデブちゃん、メガネ、ふつうのこ、と分かりやすくキャラ分けされているのは懐かしい感じがして楽しめました。出っ歯の火薬マニア、とかサイコー。

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この映画の謎、つまり貨物列車の事故の原因や、軍が隠蔽しようとしている事については、わざと抜き感を出したのかなって思うくらいアッサリだった。得体のしれない化け物が現れた時に、人間が起こすパニックとか「自分だけが助かればいい」とか「いやいや、大事な人は命にかけて守ります」とか、そういった葛藤も無いので、全てが想像通りに進んでいく部分が残念でした。(寝ている分際であれ、ですが)

例えば「ミスト」なら、どうしようも無い絶望的な状況の中で化け物達は、人間の醜さと美しさを際立たせてくれる存在感があるのですが、「SUPER 8 スーパーエイト」のそれは、少しの親子関係修復と、ちょっとの恋を実らせたくらいでしか無い気がしたんですよね。

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ただ、現段階で地球上で最も天使に近い存在のエル・ファニングと大抜擢で主演を務めたジョエル・コートニーの“今しか無い、絶妙かつ壊れやすい美しさ”はスクリーンで観る価値アリ。

その他にも、映画マニア、J・J・エイブラムス監督による小ネタ(ロメロとか)、音楽、そしてエンドロールなど良いなと思うポイントが少なくないだけに、全体のバラつき感は残念だったなー。「これで終わりかー。うーむ」と、ぼやきながら映画館をあとにしました。散々煽るCM(早くも今年No.1の傑作)に引っ張られて超期待してしまったってのも失敗だったかも。

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東京で働く28歳。ライターをしています。

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