推敲しない言葉

本・映画・音楽の、推敲しないそのままの記録。

2009年12月

2009年私的ベストブック!

誰にも頼まれていないのに書く、2009年ベストブック発表のお時間がやって参りました。

2009年ベストムービーとは大きく異なり、決して“今年刊行された本”では無いので、本当に私的な、私が今年読んだ本ということになります。

今年読んだ本はちょうど40冊。9日に1回読んでいるということになりますが、思ったより読んでないなぁ。絶対忘れている本もある気もしますが、ざざっと振り返ってみます。

■5位:「ガール」奥田英朗

ガール (講談社文庫)


女の子のリアルな心情を表現していて、笑えるし、切なくもありました。「きっとみんな焦ってるし、人生の半分はブルーだよ。既婚でも、独身でも、子供がいてもいなくても」という言葉が紹介にありますが、その通りであると。一応働く女である私は思います。

■4位:「Rのつく月には気をつけよう」石持浅海

Rのつく月には気をつけよう
Rのつく月には気をつけよう
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のんべえの気持ちをつかんで話さない描写、ちょっとキザだけど暖まる話ばかりでキュンとしました。この本を読んで以来、オイスターバーで牡蠣につけるスパイスとしてボウモアが出てくると、心がキラキラします。

■3位:「少し変わった子あります」森博嗣

少し変わった子あります
少し変わった子あります
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2009年は森博嗣を読み始めた一年でもありました。
最後にゾクっとする、「え、今何が起こったの?」とページを戻ってしまう傑作ミステリーだと思います。

■2位:「彼女がその名を知らない鳥たち」沼田まほかる

彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
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年末に素晴らしい本に出会いました。
とにかく気持ち悪い男女の話ですが(依存しまくりの中年カップル)ピュアな恋愛ともいえます。でもジャンルは間違い無くミステリー。
登場人物全員アホとも思うけど、なぜか憎めない魅力があります。

■1位:「八日目の蝉」角田光代

八日目の蝉
八日目の蝉
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中盤から後半にかけての展開が最高。泣きました。
そして読み終わった後、タイトルの意味を考えると本当に感慨深いです。

***

後は、

「この世でいちばん大事な「カネ」の話」西原理恵子
「三島由紀夫のレター教室」三島由紀夫
「凸凹デイズ」山本幸久

これらの3冊もぜひおすすめしたい本ではあります。
特に、三島のユーモアセンスには驚きました。普通にギャグ本ですからね。これは。来年もたくさんの素晴らしい本に出会えますように!

***

2009年、その他のラインナップ↓

「ポップ中毒者の手記 約10年分」川勝正幸
「こたつ」原宏一
「色彩の息子」山田詠美
「告白」 湊かなえ
「重力ピエロ」伊坂幸太郎
「まほろ駅前多田便利軒」三浦しをん
「あおい」西加奈子
「森に眠る魚」角田光代
「町長選挙」奥田英朗
「クワタを聴け!」中山康樹
「さがしもの」角田光代
「おやすみ、こわい夢を見ないように」角田光代
「容姿の時代」酒井順子
「オーラの条件」林真理子
「ハミザベス」栗田有起
「見張り塔からずっと」重松清
「あしたはうんと遠くへいこう」角田光代
「イッツ・オンリー・トーク」絲山秋子
「慟哭」貫井徳郎
「君はフィクション」中島らも
「東京するめクラブ」村上春樹、吉本由美、 都築響一
「太陽と毒ぐも」角田光代
「堕ちていく僕たち」森博嗣
「渋谷の神様」有吉玉青
「肝、焼ける」朝倉かすみ
「無銭優雅」山田詠美
「働く女」群よう子
「働く女の胸のウチ」香山リカ
「沖で待つ」絲山秋子
「欲しい」永井するみ
「ピンク・バス」角田光代

角田光代多いなw

「ピンク・バス」角田光代

読んだ。

「ピンク・バス」角田光代
ピンク・バス (角川文庫)
ピンク・バス (角川文庫)
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子供を妊娠し浮かれているサエコの家に、夫の姉・実夏子が突然訪れる。長い間消息不明だったという実夏子は、そのまま勝手に住み着いてしまった。真夜中に化粧をしたり、冷蔵庫のハムを丸ごと食べたり、と不審な行動を繰り返す実夏子。何も言わない夫に苛つき、サエコの心はかき乱されていく…。出産を目前に控えた女性の心の揺れを描いた表題作ほか、一篇を収録。瑞々しい筆致で描き出された、心に染みる極上中篇集。


表題作「ピンク・バス」は正直そこまで分かりませんでした。
主人公のイライラは嫌というほど伝わるのだけれど、ストーリー全体をなめらかに理解することができませんでした。

ただ、もう1つの短編「昨日はたくさん夢を見た」は素晴らしかったです。若者の焦り、熱に浮かされやすい恋人、だらだらと続く遊びの楽しさとむなしさ。
こんな友達がいそうだってありありと思い浮かびました。

「食べ物が美味しそうな小説や映画は傑作」と同じように、部屋の中の喧騒が思い浮かぶ小説には傑作が多い気がします。

と、さも思慮深めに書いてみましたがただの思いつきです。

欲しい

読んだ。

「欲しい」
欲しい (集英社文庫)
欲しい (集英社文庫)
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人材派遣会社を営む紀ノ川由希子は42歳、独身。恋人には妻子がいる。愛しているのに、会えば会うほど飢えていく―そんな心の隙間を埋めるため、逢瀬の後はいつも派遣ホストを呼んでいた。ある日、恋人が不慮の死を遂げた。若い女をストーキングした挙げ句、歩道橋から転落したという。彼がストーカー?不審に思う由希子は、真相を探り始める。男と女の欲望を精緻に描く、傑作長編ミステリー。


実家に帰省中、新幹線の中で読むもんが無くて、東京駅で適当につかんだ本が思わぬヒット!
これ、面白くて、車内でむさぼるように読みました。

今年読んだ「告白」(ブログ読み返すと、感想うすっ)のように、1つの事件が、登場人物それぞれの視点で描かれていて謎が解けていく瞬間どきどきしました。

だって、主人公には会社取締役の愛人がいて、その愛人に主人公が気にかけていたシングルマザーのストーカー容疑があり、そのまま転落死。って入り組んでいてすぐには頭の中で整理できないですもの。それが徐々に分かっていく瞬間が気持ち良いし、恐い。

また、「欲しい」というタイトルが逸脱だと。
「ただ穏やかに暮らしていたい」という望みがどれだけ贅沢で、ある意味狂気か。勉強させていただきました。

ミッシェル・ガン・エレファント“THEE MOVIE”/LAST HEAVEN 031011

観た。

original


ミッシェル・ガン・エレファント“THEE MOVIE”/LAST HEAVEN 031011
2003年に解散したロックバンド「ミッシェル・ガン・エレファント」のドキュメンタリー。2009年7月に急逝したバンドメンバーのアベフトシを追悼するプロジェクトの一環で製作された。2003年10月に幕張メッセで4万人を動員して行われたラストライブとそのバックステージ映像を収録。監督はミュージックビデオを数多く手がける番場秀一。


先日、2009年ベストムービーをブログに書いたところですが、もう少しはやくこれを観ていたらランクインしていたかもしれないほど素晴らしかった。

でも、「THIS IS IT」がMJを知らなくても楽しめることと反対に、ミッシェルをあんま聴いたことない人は面白くないかも? ただ、全く知らずに見ても、音がとにかく格好良いことは感じてもらえる自信アリです(何目線だよ)。

今年は音楽関係の訃報がすごく多くて、(今年はMJだけでなく、アベフトシも亡くなったんだよなー)と思っている瞬間に、フジファブリックの志村さんが亡くなるというのも衝撃で、うわーもうアベさんのギターって絶対生で聴けないんだと思うと、人生の大きな何かを損している気持ちになりました。

映画館で飲み物を飲もうと考えてたら、一緒に観た子が「チバ君といったらハイネケンっすかね」と鶴の一声。しかし、ハイネケンは売り切れていて、結局コロナを飲みました。夢中になってるうちに、瓶を通じた熱でビールはどんどんぬるくなっちゃったんだけど、それもLIVE感があって良かったです。



最高の映画おさめが出来た。
合掌、乾杯!

2009年私的ベストムービー!

誰にも頼まれていないのに書く、2009年ベストムービー発表のお時間がやって参りました。

2009年に劇場公開された作品のみを発表します。試写会で観た来年公開作品を除くと、
今年みた映画は68本でした。5日に1本観たということですね。

これは多いのか少ないのか。あと絶対忘れてるのある! まあ気にせず書いてみよう。
長くなるのでたたんでおきます。続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち

読んだ。

彼女がその名を知らない鳥たち
彼女がその名を知らない鳥たち
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和子は淋しさから、飲み会で出会ったうだつの上がらない中年男・陣治と関係を持ち、なんとなく一緒に暮らすようになる。ある日、陣治の部屋で、昔の男から贈られたピアスを発見する。何故ここに…。十和子が選んだ驚くべき行動とは!壊れかけた女、人生をあきらめた男。ダメな大人が繰りひろげる100%ピュアな純愛サスペンス。


なかなかの衝撃を受けた。
“100%ピュアな純愛サスペンス”と言っちゃうと軽すぎるような。でも、結局そうとしかいいようが無いようなw

誰からみても「何この男…」って思う下品な男と、その男を叱責することでしか自分の存在を保てない女のカップラーメンやファーストフードをビールで流しこむ日々(+マッサージ)。

女を守りたい男と、過去の自分を忘れてる女ってそれだけの話なのに、すっごい読んでる途中どきどきした。っていうか、ラストちょっと泣きそうになりました。いやすごい怖い話だし、後味悪いんだけど。

レビューにも、ミステリーなのか純愛小説なのかっていう。まあどっちにしろ面白いことは確か。

初めて読んだ作家さんなんだけど、

沼田まほかる
作家。1948年大阪府生まれ。50代の時初めて書いた長編、「九月が永遠に続けば」で、第5回ホラーサスペンス大賞を獲得。遅咲きの大輪と騒がれた。2作目の「彼女がその名を知らない鳥」も、絶賛を浴びる。経歴は、主婦、僧侶、そして会社経営と、謎めいた作家でもあり、今後に寄せられる期待も大きい。


経歴は主婦、僧侶、そして会社経営。

スゲー気になる。
僧侶って最後に行き着くところじゃないのか!

沖で待つ

読んだ。

沖で待つ
沖で待つ
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「沖で待つ」
同じ福岡支社に配属された同期の太っちゃんと私は、恋愛関係ではないが分かり合える間柄。二人はどちらかが死んだら、お互いのHDDを壊して人に知られたくない秘密を守るという約束をする。私の方が先に死ぬと思っていたのに、ある日太っちゃんは不慮の事故で命を落としてしまう。


CDを買うことが全然少なくなった今(曲を買うならITMSで)、「表題曲よりカップリングのほうがいいじゃ〜ん」と思う事も無くなりましたが、本を買って併録の短編の方が良かったって事は結構多い気がする。

「沖で待つ」は芥川賞受賞作で、仲良しの元同僚が死んだという重いニュースを、九州の食べ物の魅力など混ぜながら軽い切り口で紡いでいく所に、私なんかには絶対無い文才を感じます。

でも、人間くさくて馬鹿らしいもう1つの短編「勤労感謝の日」に大きな魅力を感じます。「勤労感謝の日って何に感謝すんだよ」という主人公の嘆きも面白い。

「勤労感謝の日」

失業した恭子は三十代半ばの独身で、母との二人暮らし。命の恩人の長谷川さんが勧める見合いに、義理を感じて応じてはみるものの、来たのはやはり鼻持ちならない男。途中で我慢できず退席してしまう。


絲山 秋子さんはどうしてこう、会社勤めをするものの色んなあれこれをここまで描けるんだろうと思った時に

東京都世田谷区出身。東京都立新宿高等学校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒。卒業後INAXに入社し、営業職として数度の転勤を経験。1998年に躁鬱病を患い休職、入院。入院中に小説の執筆を始める。2001年退職。


というプロフィールを知って納得。全ては経験から。でも、経験だけじゃ得られない才があるからこそ、こうやって境遇が違う私に色々と考えさせてくれるのだと思います。

抱擁のかけら

試写会で鑑賞。

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スペインの奇才ペドロ・アルモドバルが、彼のミューズであるペネロペ・クルスを主演に起用して描くラブストーリー。「バッド・エデュケーション」のルイス・オマールが相手役を務める。14年前に事故で視力を失った元映画監督のマテオ・ブランコは、その事故以来ハリー・ケインというペンネームで物書きの仕事をしている。ハリーは人生をかけて愛した女性レナの記憶も封印していたが……。


2週間ほど前に観たのですが、ワンシーン、ワンシーンを今でもありありと思い出せます。最高!
大人の恋愛、嫉妬、愛憎入り混じりまくり、でも全く下品じゃない。
女優のタマゴを演じるペネロペの、不自然な笑顔とか大根演技の演技がうまくてすごく可愛らしかったです。

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ペネロペを失いたくない一心で、がんばりまくるジーサンがメインの“嫉妬”ポイントですが、私的には主人公マテオの仕事のパートナーであり、かつての恋人の女性が切なくて良かったです。

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ジーサンも、ペネロペのこと大好きだからってあそこまでするかねって感じの執着っぷりを見せてくれました。

ペドロ・アルモドバルと言われても、私はあまりピンとこなくて「オールアバウトマイマザー」は観たな。くらいの感覚だったんですが、色彩が美しくて終始うっとり。あと、こんなにドロドロとしたストーリーなのに、要所要所にクスっとさせられるところもあって大人。

公開は来年の2月ですが、ぜひおすすめしたいです。
(500)日のサマーも2月公開で、ベクトル全然違うけど来年の上半期は恋愛映画が当たりな予感してます。

「働く女性」研究中

女性系サイト製作に携わる時間が増えてきたこのごろ。
小説やエッセイなど、「働く女性」をテーマにした本を手にとることも多くなりました。

最近読んだのはこれら。

働く女の胸のウチ
働く女の胸のウチ
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男女雇用機会均等法から20年。「働く女」をとりまく環境は、変わった? 変わらない? 雇均法第1世代の先輩格に当たる著者が、実際に職場で起きた出来事やクリニックに来る女性たちの声から、「今」という時代を読み解く。


雑誌連載をまとめた物で、ページの関係もあるかと思いますが、どれも話が短すぎ? テーマ、目の付け所が面白いので、もうちょっと読みたい! と思ってしまった。

しかし、この本を読んでると香山さんは一貫して働く女性の味方なんだなあと。すらすらっと軽く読めるので、読んで納得するだけじゃなくて、その後に自分でさらに考えるような、考えるテーマを自分に与えるような本です。

働く女
働く女
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こちらは短編集。

客を思う誠実さゆえに売り上げの伸びない百貨店外商部のチハル。無神経で時代錯誤のオヤジたちに悩まされるベテランOLのトモミ。手抜きのできない損な性分でボロボロになって働くエステティシャン、タマエ…。その他、ワガママ“大女優”から、ポリシーあるラブホテル店長まで、十人十色の働く女を活写!共感し、思わず吹き出し、時には少々ホロ苦い。等身大の女たちの奮闘努力に、勇気の出る短篇集。


これも、ガッツリと働く女の一生を描くというよりも、「さあこれからだ!」と気合を入れる所で話が終わります。
それを物足りないとは感じずに、元気が出るのはさすが群ようこ。

書かれている時代が今よりかなり古いので、「無神経で時代錯誤のオヤジたちに悩まされるベテランOLのトモミ」などは共感できないけれど、エステティシャンの話とか興味深かったなー。

他にも色々読み中なので、またブログに書こうと思いますが、女性は「こうあるべき!」と諭されるよりも、「こうしてみませんか?」と背中を押してもらうのが好きみたいですね。

もっともっと研究したいなー。

カールじいさんの空飛ぶ家(3D版)

観た。

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亡き妻エリーとの思い出が詰まった家にひとり静かに暮らしている78歳のカールじいさん。だが、周囲の再開発でその生活が失われそうになったある日、エリーの夢だった南米奥地の秘境を目指すため、人生最後の大冒険に出ることを決意。家に大量の風船をつけて大空へと飛び立つ。ピクサーの長編第10作で、監督は「モンスターズ・インク」でリー・アンクリッチと共同監督を務めたピート・ドクター。


3D版で鑑賞。映像が本当キレイで、キャラクターの表情も素晴らしい。
本編前の短編「晴れときどき曇り」ですでに涙を流してしまい、
(5分ほどであれだけ人を感動させるとは!)
先が思いやられていたのですが、良い意味で、思ったよりは泣けないのです。この映画。

CMが良いシーンをたっぷり見せてる感じがあって、ネタバレ大丈夫なのかな?って思っていたけど、全く問題無し!
思っていたのと違うストーリー展開に、全然飽きることなく観ることができました。あっ、あと高所恐怖症の人はちょっと注意。私はそうなんですけど、空飛ぶ家だけあって、結構手に汗にぎる場面がありました。

お年寄りは、おだやかでか弱くて、いつもニコニコ生きていると思ったら、それはうちらが思う理想だけであって、本当は冒険心にあふれててももっとエゴがあるよねっていう。

2


どうですか、この闘う男の後ろ姿。
じいさんがどんどん強くなっていく過程は爽快!

子供と鳥の関係も良かったなー。
それにしても、嗚呼。あの短編もう一度みたいな。
雲がふわあっ、ふわあ。

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東京で働く28歳。ライターをしています。

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